フランスの伝統的なパイ菓子「ガレット・デ・ロワ」の正しい食べ方や歴史、定番のフェーブ、作り方などをご紹介いたします。
目次
ガレットデロワとは?
ガレットデロワとは、フランスで伝統的に1月に新年を祝して食べられる、アーモンドクリームが詰まったパイ菓子のこと。
通常はパイ菓子に加え、紙で作った王冠とフェーブ(陶製の小さな人形)が用意されます。
人数分に分割したパイ菓子のどれか一切れの底にフェーブを埋め込み、それが当たった人は1年間幸運が続くと言われています。
詳しくは、郷土菓子に詳しい林周作氏が世界各地を食べ歩いて執筆したこちらの本に記載されています。
よろしければ参考にしてみてくださいね。
ガレットデロワの伝統的な正しい食べ方
ガレットデロワには、伝統的に決められた食べ方があります。
- 集まったなかで一番若い人(A)に目隠しをします。
- A以外の人で人数分に切り分けます。
- Aは目隠しをしたまま、どのピースを誰に配るかを指定します。
- フェーブが当たった人は、そのパーティの間、紙で作った王冠をかぶり続けます。
伝統的なガレットデロワは、製造過程でオーブンに入れられる前に中央付近にフェーブを仕込まれるため、上の手順で食べられます。
日本で販売されている一般的なガレットデロワは、フェーブが別に付属されていてることが多いため、切り分ける直前にガレットデロワ(の底)にフェーブが埋め込まれます。
ガレットデロワの歴史
〝東方の三博士〟に由来したネーミング
ガレットデロワの歴史には、カトリックの文化が深く関係しています。
フランス語の「ガレットデロワ(galette des rois)」の〝rois〟は、〝東方の三博士(rois mages)〟に由来しています。
幼子イエスの生誕を祝し、1月6日に東方の三博士が訪問したことを記念した〝公現祭(エピファニー)〟で伝統的に食されていました。
フェーブや王冠はローマの古いお祭りに由来している?
一説によると、ゲーム感覚で楽しむガレットデロワの食べ方は、古代ローマの〝サートゥルナーリア祭〟という祭典に由来していると伝えられています。
サトゥルナーリア祭では、豆(フェーブはフランス語で〝ソラマメ〟の意味)がひとつ入ったケーキが提供され、豆が当たった人がその宴会の王となるという風習がありました。
これは、現在宴会などで行われる〝王様ゲーム〟にもつながっていると思われます。
陶製のフェーブは、もともと幼子のキリストの人形だった
陶製のフェーブが使われ始めた当初は、生まれたばかりのキリストを象ったものが一般的でした。
時が経ち、ガレットデロワの宗教色が薄れてくるに連れ、車や動物などさまざまなフェーブが使われるようになってきました。
また陶製のフェーブは誤って呑み込んでしまったり、噛んで歯が折れてしまったりする危険性があることから、代わりに小さなチョコレートが使われる場合もあります。
ラデュレのマカロンも!ガレットデロワの定番フェーブ・7選
①アルルカン
「アルルカン」とは、仮面を使用する即興喜劇『コメディア・デラルテ』に登場する架空のキャラクター。
ひし形の模様のついた衣裳で全身を包み、ずる賢い人気者で、いろいろな物語のなかでよくモチーフにされる西欧では伝統的なキャラクターの一種です。
こちらは、ガレットデロワの本場・フランス製のもの。
②トイストーリー
お次は、ディズニーキャラクターのフェーブ。
キャラクターたちの特徴が細かく再現されています。
③ガレット・デ・ロア
こちらは、ガレットデロアと王冠のフェーブ。
ガレットデロアが王冠を被っているような愛らしさがポイントです。
④スヌーピー
続いては、世界中で大人気のキャラクター、スヌーピーのフェーブ。
子どもも喜ぶこと間違いなしの、かわいいデザインです。
⑤西洋建築物
一軒家やパリの街並みの一角にありそうな西洋建築物も主流。
他にも教会や、建物ではありませんが東方の三博士の人形など、ルーツであるキリスト教にちなんだフェーブもよくみられます。
⑥自動車
画像は、フランスの自動車メーカー・プジョーの車。
⑦動物
牛や羊など、動物のフェーブも定番です。
ガレットデロワのレシピ・作り方
こちらでは、アーモンドペーストを用いた簡単なガレットデロワの作り方・レシピをご紹介いたします。
用意する材料はこちら。
- 市販のパイ生地:2枚
- アーモンドペースト:¼カップ(60 ml)
- 無塩バター:大さじ3
- 粉糖:大さじ3
- 卵:2個
- アーモンドエキス:小さじ1
- 小麦粉:大さじ2
- 液卵:適量
以下がレシピです。
- アーモンドペースト、無塩バター、粉糖をすべてミキサーに入れて、混ぜ合わせる
- そこに卵2つとアーモンドエキス小さじ1杯を加え、さらに混ぜる
- さらに大さじ2杯分の小麦粉を入れ、よく混ぜる(※これでアーモンドクリームの完成)
- パイ生地2枚をそれぞれ棒を使って強く伸ばす
- 直径25cmくらいの皿をかぶせ、それに沿ってナイフで生地を切り抜く(※円形の生地を2枚つくる)
- 1枚をクッキーシートに載せ、「3.」でつくったアーモンドクリームを生地の中央に載せる
- アーモンドクリームを生地の輪郭3~5cm程度を残し、広げる
- アーモンドクリーム上の好きな位置にフェーブを載せる
- 輪郭に液卵を塗り、もう一枚の生地を重ね、輪郭を抑えて2枚をくっつける
- 重ねた生地の輪郭に模様をつけ、表面に液卵を塗って包丁で薄く格子状に模様をつける
- それを冷蔵庫で10分冷やす
- オーブンを200℃に設定し、25~30分焼き上げて完成
以上の過程が、以下の動画で解説されています。
(英語ですが、簡単な作業ですので上のレシピと併せてみていただければ理解いただけると思います)
いかがでしたか?
年に一度のクリスマスや、伝統的には1月6日に食べられるフランスの伝統的なパイ菓子、ガレット・デ・ロワ。
フェーブを探したり、集めるのも楽しいですよね。フェーブなつじかんなど、日本にもフェーブ専門店があるので、ぜひチェックしてみてくださいね。