スペイン発祥のクッキー・ポルボローネ(ポルボロン)の概要や語源、歴史などをご紹介します。
目次
ポルボローネ(ポルボロン)とは? スノーボルとは違う?
ポルボローネ(ポルボロン)とは、小麦、砂糖、ナッツ、ポークラード(※豚脂)を主原料とする、スペイン発祥のクッキーのこと。
「マンテカド(Mantecado)」というスペインのバタークッキーの一種で、口の中で雪のようにホロホロと溶けていく食感が特徴。外見は、円形・楕円形のものが一般的です。
食感が雪解けを連想させることから、フランス語では「ブール・ド・ネージュ(Boule de Neige)」、英語では「スノーボール(Snow Ball)」と呼ばれ、どちらも雪の玉を意味します。
口に入れて溶けるまでに「ポルボロン、ポルボロン、ポルボロン」と3回唱えると〝幸せが訪れる〟と伝承されています。
ちなみに、日本でもっとも有名なポルボローネは、成城石井から販売されている和三盆を使用したポルボローネ。
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ポルボローネ(ポルボロン)の語源
ポルボロン(Polvoron)は、スペイン語で〝粉〟〝塵(ちり)〟を意味する「polvo」に、強調語尾の「ron」がついてできた言葉です。
ちなみにポルボローネ(Polvorones)は、ポルボロン(Polvoron)の複数形。ですから、1粒の場合はポルボロン、4個入りなど複数の場合はポルボローネと呼び分けるのが本来的には正しい使い方ということになります。
ポルボローネ(ポルボロン)の歴史
イスラム教徒がレシピをスペインに持ち込んだ?
ポルボローネの元のレシピは、ムーア人(イスラム教徒)によって、スペインの地に伝えられたとされています。
イスラム教では豚を食べることが禁止されているので、元のレシピにはポークラードは含まれておらず、牛乳や油が使われていた考えられます。
その後スペインで爆発的な人気となり、15世紀以降に異端審問が行われた際は、イスラム教徒を特定する手段として牛乳をポークラードに置き換えるべきであることが布告されたそう。ポルボローネが、日本史でいうところの踏み絵として使われたということです。
この時期から、ポルボローネの原料としてポークラードがメインに使われ始めたと考えられます。
大航海時代にフィリピンやキューバに渡り、人気となる
15世紀半ば~17世紀にかけての大航海時代には、スペインが植民地化したフィリピンやキューバに伝わり、それぞれの地でローカライズされたレシピで食べられるようになりました。
キューバでは、ポルボローネがアイスクリームの風味にも影響を与え、現在では世界的に知られるようになった「ラテン風バニラ」と呼ばれるアイスクリームフレーバーとして確立されています。
現在のスペインでは、ポルボローネはクリスマスのお菓子の定番
現在のスペインでは、トゥロンと呼ばれる南ヨーロッパのヌガー菓子(※ソフトキャンディの一種)と並び、ポルボローネは伝統的なクリスマスのお菓子として定着しています。
いかがでしたか?
ポルボローネは、歴史的にはカトリックやイスラム教と深い関わりのあったお菓子。日本でもチョコレートやストロベリー、和三盆などいろいろなフレーバーが展開されているので、ぜひ食べてみてくださいね。