ノーベル文学賞の候補者として噂されるなど、日本を代表する小説家・村上春樹。
長編作品も多く、その独特な比喩や世界観から、活字を読み慣れていない人からは「難しそう…」という印象を抱かれがちですが、実は恋愛描写も多く、スッと入ってくる文体で読みやすい作品ばかりです。
こちらでは、初心者に向けて村上春樹のおすすめの作品を厳選し、ランキング形式でご紹介。
〝長編小説〟〝短編集〟の2つに分けてご紹介しているので、参考にしてみてくださいね。
目次
初心者におすすめ!村上春樹の長編小説ランキング・10選
1位.ノルウェイの森(1987年・村上春樹)
まずは、村上春樹の作品のなかで最も知名度が高く、そのナイーブな世界観を存分に味わえる青春小説。
累計販売数1,000万部以上の村上春樹の大ベストセラー作品です。
大学生の主人公〝僕〟の視点で、死んだ友人の彼女である〝直子〟や同じ学部の〝小林緑〟との関係が、美しい情景描写や巧みな比喩表現とともに描かれています。
舞台は1969年の東京ですが、文体や表現の古臭さは全くなく、いつの時代に読んでも喪失を抱えた青春期の美しさを体感できます。
なお2023年2月時点では、amazonでは、1,048件もの口コミが寄せられて、評価は平均☆4.4です。
村上春樹の作品を何か読んでみたいと思っている方でとくべつこだわりがない場合は、こちらを最初に手に取ってまず失敗はありません。
口コミでは、
これまで何冊か小説を読んだことがあったが、小説の読み方や楽しみ方を知らず経験値が浅かったためあまり面白いと感じることはなかった。
しかし、本作を読んで初めて面白いと感じた。
なぜだかわからないが、不思議と物語に引き込まれて次から次にページをめくってしまった。
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何度読んでも引き込まれてしまいます。
うまく説明できませんが、琴線に触れるとはこういうことなのだろうと思います。
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読み終えたばかり 感動でただ茫然としています。
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など、小説などを読み慣れない方でも引き込まれてしまった、と好評です。
映画化もされているので、小説とあわせてチェックしてみてくださいね。
2位.風の歌を聴け(1979年・村上春樹)
続いては、村上春樹が30歳のときのデビュー作。
長編小説のなかでも文量が少ないため、そもそも活字を読み慣れていない初心者の方におすすめです。
こちらも『ノルウェイの森』と同じく大学生の主人公〝僕〟の視点で、親友の〝鼠〟やレコード店で働く女性との青春のシーンが内省的に描かれています。
なお、村上春樹はこの作品で講談社の群像新人文学賞を受賞しています。
出版社の一部の人たちからは「こんなちゃらちゃらした小説は文学ではない」などの批判もあったそうですが、だからこそ、青春小説としてコアなハルキストからは熱烈に愛されている一冊でもあります。
2023年2月時点では、amazonでは1,692件の口コミが寄せられ、評価は平均☆4.1です。
口コミでは、
簡潔で明瞭で、誘惑的。
次のページが気になる仕掛けになっている。
これは人気作家にもなるわ、と納得。
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村上の最高作品
彼の本は色々読んだけどこれが一番好みだな
やっぱり天才だよ
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明確なストーリーのある小説ではありませんが、一度読めば、その後はどのページから読んでも面白いです。
どのページにも、名言が含まれています。
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と、村上春樹らしい美しい文章を体感できると好評です。
こちらからチェックしてみてくださいね。
3位.1973年のピンボール(1980年・村上春樹)
続いては、上でご紹介した『風の音を聴け(1979年)』『羊をめぐる冒険(1982年)』とともに、村上春樹の〝初期三部作〟として知られる長編小説。
村上春樹の小説にはシリーズという概念がなく、すべて一作で独立していますが、こちらの作品には『風の音を聴け(1979年)』に引き続いて〝鼠〟が登場するなど、明らかな関連性があります。
ですから、初心者の方は『風の音を聴け(1979年)』を読んだあとに手に取ることをおすすめします。
こちらも大学生の〝僕〟の視点で描かれる取り止めのないストーリーで、ピンボールマシンの幻想的な描写や、不意に同棲することとなった双子の少女たちとのエピソードなど、村上春樹の独特な世界観を感じることができます。
amazonでは、2023年2月時点では、734件の口コミが寄せられて、評価は平均☆4.2です。
口コミでは、
初期の村上作品の特徴がよく出ていて、最初から最後まで楽しめました。
愛読書として永久保存です。
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特に後半がすばらしかったです。
この小説は何度でも読み返したいなぁ。
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悩みが尽きない若者世代は一度読んでみて欲しい。
自分自身を客観視する事が出来るかもしれない。
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など、何度も読み返したい、という声が多く寄せられています。
こちらからチェックしてみてくださいね。
4位.世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(1985年・村上春樹)
続いては、村上春樹の4作目の長編小説。
村上春樹の長編小説には、あくまで現実の日常を生きる主人公視点のストーリーが多いのですが、こちらは、ストーリー自体にSF要素や幻想がはじめから組み込まれています。
架空の街で暮らす〝僕〟の物語「世界の終わり」と、暗号解読者の〝私〟の物語「ハードボイルド・ワンダーランド」の2つが並行して進んでいく構成で、不思議な読書体験をすることができます。
この作品で、村上春樹は谷崎潤一郎賞を受賞しています。
2023年2月時点では、amazonでは328件の口コミが寄せられて、評価は平均☆4.4。
口コミでは、
ネタバレになるので詳しくは書けませんが、その終わりのない終わりが最高です。
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私は毎年1回は読み返している。
その都度面白い。
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流石に物語をダイナミックに展開させる力量は相当なもので、なかなか読ませる作品だなと感じるに至りました。
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と、構成の面白さが好評です。
こちらからチェックしてみてくださいね。
5位.1Q84(2009-20010年・村上春樹)
続いては、文庫本は全6冊で構成される、村上春樹の超大作。
30歳を目前とした数学講師〝天吾(男)〟と、同級生のスポーツインストラクター〝青豆(女)〟の2人の視点で物語が進んでいきます。
2人の物語に、謎の宗教団体「さきがけ」やそのスパイである〝牛河〟という男が関わることで、ミステリーの要素を孕んだハラハラしたストーリー展開を楽しめます。
村上春樹の比較的新しい長編小説を楽しみたい方は、『1Q84(2009-20010年)』はとてもおすすめです。
amazonでは、2023年2月時点では、186件の口コミが寄せられて評価は平均☆4.5。
口コミでは、
読んでいる間、本当に世界に没頭してしましました。
純文学なので落ちとかは求めてませんし物語の意味も全然わからない。
(中略)
でも現実を忘れさせてくれるというか没入感は本当にすごいので好きなんでしょう!
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なぜこんなに引き込まれ、感動するのか
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と、世界観に没入できると好評です。
こちらからチェックしてみてくださいね。
6位.海辺のカフカ(2002年・村上春樹)
続いては、村上春樹の小説としては珍しい、未成年の15歳の少年が主人公の物語。
東京に住む中学三年生の〝僕(田村カフカ)〟が、家出をし、夜行バスで香川県に来てしまうところから始まります。
〝僕〟と、もうひとりの主人公である〝ナカタ〟の2人の視点で物語が交互に描かれていることは、『1Q84』とも共通しています。
場所を変えながらさまざまな人と出会うことで〝僕〟の内面が養われていく、ビルドゥングスロマンと呼ばれる小説ジャンルのひとつと捉えることができる作品です。
2023年2月時点では、amazonでは292件の口コミが寄せられて、評価は平均☆4.4。
口コミでは、
とても不思議で魅力的で魅惑的な物語でした。
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ワクワク感がたまらなかったです。
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僕は少年の成長物語、冒険物語と読んだけど、きっとそうでない読み方、もう何段階か上の読み方もありそうだ。
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など、さまざまな解釈ができる、という声が寄せられています。
こちらからチェックしてみてくださいね。
7位.ねじまき鳥クロニクル(1994-1995年・村上春樹)
続いては、シリアスな描写の多い長編小説。
物語は、主人公の〝僕〟が飼っていた猫が失踪するシーンから始まります。
ノモンハン事件を経験した〝本田さん〟の壮絶なエピソードや、〝僕〟の義理の兄である東京大学卒の〝綿谷ノボル〟の恐ろしい人間性など、ダークな描写の多い一冊です。
なお、この作品で村上春樹は読売文学賞を受賞しています。
全体をきちんと解釈しようと思うとやや難解かもしれませんが、ひとつひとつのシーンはとても魅力的で引き込まれますから、村上春樹の作品をまだ読んだことのない初心者の方にもおすすめです。
口コミでは、
「綿谷ノボル」という邪悪の化身のような男との闘争が本作の基本線。
良いテーマだと思う。
敵がはっきりしているから、読んでいても迷子にならない。
第1部購入者(出典:amazon)
最初は穏やかに読んでいたはずなのに、いつの間にかどっぷりとはまってしまっていました。
深い精神世界に入り込んだような、そういう息苦しさを少し感じましたが、すごい作品です。
第2部購入者(出典:amazon)
と、シリアスなシーンへの言及が多く寄せられています。
こちらからチェックしてみてくださいね。
8位.騎士団長殺し(2017年・村上春樹)
続いては、村上春樹の独特なユーモアが炸裂した一冊。
〝僕〟を据えることの多い村上春樹にしては珍しく、主人公は画家である36歳の〝私(男)〟です。
作中には〝イデア〟や〝メタファー〟などの学術的な名前のチャーミングなキャラクターが登場するため、「何か深い意味があるのかな…」などと考えながら読むとより楽しめでしょう。
時代背景が比較的に新しいため、その意味では初心者の方でもとっつきやすい作品です。
口コミでは、
村上さんらしい人の描写と、その関係と、ファンタジーなキャラクターが混じってとても楽しく読ませていただきました。
悲しいけれど未来に明るい光が見えるのも良かったです。
第1部・上購入者(出典:amazon)
やはり村上作品はおもしろいと思いました。
非現実的なことを、本当にリアルに描いてあって、まさに引き込まれる感じです。
第2部・上購入者(出典:amazon)
と、独特な世界観が好評です。
こちらからチェックしてみてくださいね。
9位.羊をめぐる冒険(1982年・村上春樹)
続いては、村上春樹の〝初期三部作〟の最終作。
『風の歌を聴け(1979年)』『1973年のピンボール(1980年)』『羊をめぐる冒険(1982年)』の順で読まれることをおすすめします。
抽象的で深みのあるテーマと、〝羊男〟や〝いるかホテル〟など童話に出てきそうなポップなネーミングのギャップに着目すると、村上ワールドをより楽しめるはず。
また村上春樹の小説としては珍しく、作中に〝羊男〟のイラストが登場するので要チェックです◎
amazonでは、2023年2月時点では、702件の口コミが寄せられて評価は平均☆4.5。
口コミでは、
おもしろすぎ。
とにかく、鳥肌がたちました。
村上春樹作品で一番、好きかも。
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理解できた、とは思っていません。
誰にも正確に読み解くことなんてできないでしょう。
ただ何かわからないけれど深い悲しみが湧き上がってくる、そんな作品です。
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などの声が寄せられています。
こちらからチェックしてみてくださいね。
10位.スプートニクの恋人(1999年・村上春樹)
おすすめの長編小説の最後は、『スプートニクの恋人』。
主人公の〝僕(24歳)〟と〝すみれ(22歳)〟の、絶妙な距離感での恋愛関係を軸にストーリーが進んでいきます。
その点で、背景に壮大なテーマがある『1Q84』や『羊をめぐる冒険』などよりは、初心者にとって読みやすいかもしれません。
村上作品のなかではそれほど知名度のある小説ではありませんが、文体が美しく、清々しい読後感を味わうことができるためおすすめです。
口コミでは、
村上春樹の世界観を味わいたい方にオススメの本です。
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いいですねー・・・。
読み終えたあとボンヤリしながら、「さぁ、これは、いったい何の話だったんだろう」と考えにふける心地よさ。
その余白が気持ちいい。
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と、好評です。
こちらからチェックしてみてくださいね。
初心者におすすめ!村上春樹の短編集ランキング・5選
1位.神の子どもたちはみな踊る(2000年・村上春樹)
こちらは、村上春樹作品のなかでもとくに有名な短編集。
表題でもある『神の子どもたちはみな踊る』や、巨大な蛙が登場する物語『かえるくん、東京を救う』など、6つの作品が収録されています。
短編集の背景には、1995年に発生した阪神・淡路大震災があり、作中では間接的にそのことに触れられています。
amazonでは、2023年2月時点では、322件の口コミが寄せられて、評価は平均☆4.3。
口コミでは、
個人的にはラスト作が一番印象に残ったが、やはり6作の連作である意味は十分感じられた。
あえて誤解を恐れず言ってしまうと、読み手の感受性が試される連作集で、村上春樹と波長が合えば楽しめると思う。
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個人的には「かえるくん、東京を救う」と「蜜蜂パイ」がとても気に入っていてよく読み返しています。
いくつかの言葉や物語そのものが、とても素直に心に広がるんです。
なんだかとても励みにもなります。
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と、それぞれの物語や使われている表現に引き込まれた、という声が多く寄せられています。
こちらからチェックしてみてくださいね。
2位.女のいない男たち(2014年・村上春樹)
こちらは、2014年に刊行された村上春樹の短編集。
映画化された『ドライブ・マイ・カー』や、独身主義者の医師の悲しい物語『独立器官』など、孤独な男性を主人公に据えた6つの物語が収録されています。
村上春樹自身は、作中にいくつかの事実が含まれていることを示唆する発言をしていますが、事実ともフィクションともつかないリアルな男たちの描写に引き込まれる読者は少なくないはず。
amazonでは、2023年2月時点では、2,411件の口コミが寄せられて評価は平均☆4です。
口コミでは、
読んでみて、やっぱり村上春樹の文章や表現は、“好きだなぁ!”と再確認しました。
最近日常の忙しさを理由に本を読む時間が無くなっていたので、又この本から色々読もうと思います。
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どの短編もいいが、女性と会うといつも「独立器官」を思う。
女性をこのような切り口で表現したものが今までにあったのか?
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など、読者によってさまざまな感情が呼び起こされるようです。
『ドライブ・マイ・カー』は映画も併せてこちらからチェックしてみてくださいね。
3位.中国行きのスロウ・ボート(1983年・村上春樹)
続いては、1983年に刊行された、村上春樹のファースト短編集。
デパートの商品管理課に務める〝僕〟とクレーマーの女性の物語『カンガルー通信』や、アルバイトの最終日の物語『午後の最後の芝生』など、全7作が収録されています。
表紙には、村上春樹と親交が深かった安西水丸の素敵な洋梨のイラストが描かれていて、単行本や文庫を本棚に飾っておくのもおすすめです。
(※なお、2023年2月時点では、kindle版は販売されていません)
口コミでは、
午後の最後の芝生が自分のお気に入り
若いころの 暑い夏の日がよみがえってくるそんな文章です。
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午後の最後の芝生
何回読んだかわからない。
村上さんの作品の中で一番好きだし傑作だと思う。
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と、とくに『午後の最後の芝生』に感銘を受けた、という声が多くよせられています。
こちらからチェックしてみてくださいね。
4位.パン屋再襲撃(1986年・村上春樹)
続いても、初期に刊行された村上春樹の短編集。
ある日突然、動物園から飼育員とともに象が消える話『象の消滅』や、長編小説「ねじまき鳥クロニクル」の原型とされる『ねじまき鳥と火曜日の女たち』など、6つの物語が収録されています。
amazonでは、323件の口コミが寄せられて、評価は平均☆4.1。
口コミでは、
村上春樹さんのユニークさと力を感じさせられ、楽しみました。
題材も設定も、すごい、とは思いませんでした。
ところが、引き込まれました。
何んなんでしょうか?
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深夜にハンバーガー屋を襲ったり、はんだごてが何となく嫌いだったり、このわけのわからない感じが好きなのです。
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など、村上春樹の世界観を存分に楽しめると好評です。
こちらからチェックしてみてくださいね。
5位.一人称単数(2020年・村上春樹)
最後は、2023年2月時点で村上春樹の最新作の短編集。
〝僕〟とガールフレンドの〝サヨコ〟の不思議な物語『ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles』や、初めて入ったバーカウンターで展開される内省的な物語『一人称単数』など、全8作品が収録されています。
amazonでは、2023年2月時点では、1,267件の口コミが寄せられて評価は平均☆4.1です。
口コミでは、
読み易い。
ヤクルトスワローズ詩集 が1番好きなお話です。
生きる上で心に留めておきたいお話でした。
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非常に興味深い短編集でした。
一番好きな作家さんで、本当に読みやすいのですが、深いです。
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またまた不思議な世界へ引き込まれ、味わい、言葉やその連なり、企みや喜びを味わってきました。
絵画や音楽や映像では表現できない世界です。
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と、好評です。
こちらからチェックしてみてくださいね。
いかがでしたか?
初めて村上春樹の小説を手にとられる方は『ノルウェイの森』がおすすめですが、コアなファンの多い〝初期三部作〟や長編小説の原型になっている短編も魅力的です。
映像や音楽では表現できない、村上春樹の独特な美しい小説の世界をぜひ体感してみてくださいね。